ホームページのデザインは最後に考える

古賀デザインブログ
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「カッコいいホームページにしたい!」に、ちょっと待った

ホームページのデザインを考えるのは楽しいものです。いざ自社のホームページを制作するとなれば、世に数多とあるホームページを眺め、「自社のホームページもこんな風にカッコよく、お洒落に!」と想像をめぐらすことでしょう。そんな思いに釘を刺すようで恐縮ですが、ホームページの制作において大切なのは、「デザインは最後に考える」ということです。

さらに、自分たちが満足するものではなく、ユーザーにとって便益があるデザインか?を考慮することも大切です。

デザインに気を取られると、コンテンツ作りが疎かになる

デザインを最後に考えなければならない最大の理由は、最初からデザインについて検討をはじめると、その良し悪し(好き嫌い)にばかり気を取られてしまい、肝心の中身であるコンテンツづくりが疎かになるからです。

デザインについて検討したり議論したりすることは楽しいことです。そのため、打ち合わせや会議の時間の大半をデザインの、それも本筋とはかけ離れたディティールに関してに費やしてしまい、そもそもホームページを制作やリニューアルする理由の核心部分である「何を伝えればお客様に自社の商品やサービスを選んでもらえるか?」の議論が希薄になってしまいがちです。

また、デザインが決定してしまえば、それでホームページができあがってしまったと錯覚して満足してしまうことも、コンテンツ作りが疎かになる原因です。

「では、デザインは何でも良いのか?」と聞かれれば、「それは優先順位の問題です」と私は答えています。見た目にバランスのとれた、見やすいホームページにすることは、ユーザーの使いやすさという便益の視点からも大切なことです。また、スマートで整ったデザインのホームページは、ブランドのイメージ向上にも寄与します。しかし、「ホームページの見た目がカッコいいから」だけで、商品やサービスを選ぶお客様はごく僅かでしょう。選ぶ理由は、やはり商品やサービスを紹介するコンテンツに納得できるか、共感できるかにあるのです。要は大切なことから順に整えていきましょうということです。

装飾的なホームページは激減した

2010年代から比べると、過度に装飾や演出に凝ったホームページは激減しました。かつてはたくさんあった、思わせぶりたっぷりのオープニングムービーが延々と流れるようなホームページや、どこをクリックしたら良いのか一見わからないほど端正すぎるホームページから比べると、現在のホームページ、特に大企業のホームページになるほど、びっくりするぐらい素っ気ないデザインと言えます。

理由は簡単です。ユーザーがホームページを検索する理由は、自分が知りたい情報がそこにあるかどうか、自分が選ぶにふさわしい商品やサービスかどうかです。それなのに、自意識過剰気味なムービーを延々と見せられても、それはユーザーにとって邪魔なノイズでしかないのです。結局、ムービーが終わる前に離脱することになります。オープニングのムービーに限らず、デザインに凝ったばかりに文字サイズが極端に小さくなったメニューや、過度な装飾や演出によってわかりにくくなってしまったインターフェースなど、ユーザーにとって使いにくいホームページは、淘汰されてしまったわけです。

みなさんが「わかりやすい」と思えるホームページを見てみてください。どれもレイアウトはシンプルで、見出しの文字装飾も最小限、使用している色数も整理されているかと思います。逆の見方をすれば、どのホームページも写真とロゴを隠してしまうと似たり寄ったりのデザインと言えるかもしれません。そうなのです、コンテンツの内容で勝負するホームページに余計な装飾は不要なのです。

スマホがホームページのデザインを変えた

装飾的なホームページが激減した理由には、ユーザーのニーズとともに閲覧する環境も挙げられます。現在、ホームページを閲覧する端末のおよそ80%はスマートフォンと言われています。業種によっては90%に近いホームページもあります。したがって、最も利用される端末を基準にコンテンツや見え方を検討しなければならないことは、どなたでも想像できるかと思います。

スマートフォンの画面サイズは、デスクトップ型のパソコンと比べるとずっと小さいです。この小さな画面に伝えるべき情報を表示しようとすれば、コンテンツの写真やテキストの表示が最優先となります。不要な装飾を加える余地はぐっと少なくなるのです。また、小さな画面でもタイトルや見出しがはっきりと読めるように、文字の装飾も減り、コントラストのはっきりとした黒い文字で表示されることが多くなったのです。

今後もスマートフォンに代表されるモバイル端末によるホームページの閲覧の割合はより高まっていくことでしょう。そうなると、「まず、スマートフォンでの表示デザインを検討して、それをパソコン用に展開する」という考え方が一般的になります。つまり、パソコンでしか見えない装飾要素について検討を行うことは少なくなり、コストをかけることも無くなっていくことでしょう。

ホームページ制作はコンテンツづくりからスタート

一時期、ホームページ制作の現場では見やすさよりスタイリッシュ感を重視したり、驚くような動きのあるデザインが横行しました。これはコンテンツの設計で差別化ができないデザイン事務所がコンペなどで勝ち抜く手段として、海外で流行っているホームページなどをヒントに、見た目のインパクト重視で作っていたためです。ユーザーの使い勝手よりも、目先のお客さんに喜んでもらうためのデザインです。

しかし、そのようなホームページ作りは既に過去のものとなりました。「提供価値=選ばれる理由」は、ホームページの「額縁部分」の装飾やギミックではなく、「絵の部分」、つまりそこに入る商品写真などのコンテンツで伝えるべきです。

これからのホームページ制作は、提供価値や顧客との接点を想定してコンテンツを十分に検討し作り込むことが先決です。その上で、コンテンツをいかにわかり易く伝えるかというデザインを一番最後に考えるという作業フローになっていくとお考えください。

まとめ

今回のブログでは、ホームページのデザインはどのタイミングで考えるのかについて書きました。ポイントをまとめますと、次のとおりです。

・ホームページをデザインから考えはじめるとコンテンツ作りが疎かになりがち
・また、過度に装飾的なデザインのホームページは求められなくなりつつある
・これからは、提供価値や顧客との接点を想定したコンテンツ作りがなによりも大切
・その上で、コンテンツをいかにわかり易く伝えるかというデザインを一番最後に考える

「せっかく作るホームページなのだから、カッコよくお洒落なデザインに!」という気持ちは理解できます。でも、その気持はひとまずグッと我慢して、まずはコンテツ作りに神経を集中させることをおすすめします。

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