自社ブランドの「提供価値」は社員みずからで生み出すもの

古賀デザインブログ
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提供価値は外からやってきません

いろいろな場で「ブランディングとは何か?」という説明をしていくとき、「提供価値」は誰かが作ってくれるものと考えている方が時としておられます。
しかし、提供価値は天から降ってくるものではありません。ましてや、赤の他人が「はい、これが御社の提供価値です」と決めてくれるものでもありません。提供価値は、会社のこれまでの資産や経験といった内部からににじみ出てくるものを精製し、最終的に自らが決めるべきと思っています。

私の失敗を踏まえて

提供価値はお客さまが決めるべきと言うのには理由があります。いままでに何度か手痛い失敗を私がしてきたからです。少し具体的に言うならば、話の流れから私が考える提供価値をお客さまに押し付ける形になってしまい、結果としてお客様の信頼を得ることができなかったことがしばしばあったのです(この失敗は、いまでも時々やってしまいます)。

いま考えてみれば当然のことでした。自社や自社商品の特徴、また、それを取り囲む市場や競合の環境は、お客様自身がいちばん知っています。それに対して、業界に対して素人同然の私が少しお話を聞いただけで、「ああすれば?、こうすれば?」と言っても、それはただの思いつきでしかありません。何度も試行錯誤を重ねた結果どうしてもブレイクスルーできず、藁にもすがる思いで私にお声がけをしていただいたのに、「思いつきの提供価値」を口にするのは、お客さまの悩みを軽視した言動でしかなかったわけです。これでは「いい加減なコンサル」と思われても仕方ありません。

そのような経験から、提供価値はお客さま自らにこれまでの活動を振り返っていただき、「ほんとうは何をすべきなのか?」をご自身の口で語っていただくべきという結論に至りました。そして、古賀デザインはその手助けをするのが役目だと考えます。

提供価値は覚悟でもある

また、提供価値は覚悟であるとも考えます。商品やサービス開発、あるいはそのマーケティング活動はすべて提供価値の具体的な施策として実施されます。提供価値がブレブレになってしまっては、すべての活動が軸を失ってしまします。いちど提供価値を決めたら、全ての活動が同じ方向を向く必要があります。しかし、ついつい他社の動向が気になってしまい、決心は意外と難しいことから、私は「覚悟です。腹をくくってください」と説明しています。

人に決めてもらった提供価値では、なかなか覚悟は決まらないものです。しかし、自分たちで決めた提供価値であれば、腹をくくることもできるのではないでしょうか?

なによりも共有が大切です

もうひとつ。提供価値は「社員、スタッフ間の共有」が大切です。社長が独断で決めた提供価値(ありがちですが…)に対して、スタッフ全員が覚悟できるかは甚だ疑問です。やはりスタッフ全員が共感し共有することで、はじめて同じ方向を見ることができるのではないかと、私は思います。

社長でなくても、例えば社内のブランド管理部門やブランド委員会が外部のコンサルティング会社とで決めた提供価値が、社内に浸透してしない例は結構あります。結果として、ブランド管理部門は全社的なブランディングをコントロールするというより、社内の印刷物などでのロゴの使い方をチェックするのが主業務であったりします。

ワークショップ形式でのブランディング

「内から出てくるもを大切にする」「自分たちで決める」、そして「全員が共感、共有できる」提供価値をつくるプロセスとして、古賀デザインは「ワークショプ形式」をご提案しています。全員の参加は難しいとしても、企画、製造、営業、広報、総務といった部署からスタッフの方にまんべんなく参加いただき、半日程度のワークショップを数回行う中で、自分たちの提供価値を精製し、それを社会に広める方法までを考えるものです。キャッチコピーやロゴをつくるクリエイティブワークではなく、コンセプトワークです。

ワークショップの成果物は、「Who:ターゲットは誰なのか?」、「What:ターゲットに対しての提供価値は何か?」、「How:WhoにWhatをどうやって届けるか?」です。とてもシンプルな着地点に見えますが、参加者全員が腑に落ちる「Who / What / How」をにたどり着くまでには、意外と時間がかかるということを覚悟してください。

次回からのコラムでは、ブランディング・ワークショップのすすめ方について、数回にわたりご紹介をしたいと思います。

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