ブランディングに対する誤解を解く
多くの人が「ブランディングとは社名やロゴを新しくすること」と誤解しています。この誤解から、ブランディングは大企業の合併や周年事業と結びつけられがちです。また、多額の費用が必要と思われているため、ブランディングができるのは大企業に限られるというイメージもあるようです。
実際に、「ブランディング」をインターネットで検索してみると、「自社の価値を高め、他社と差別化すること。そのためにブランドの顔である社名やロゴ、商品パッケージをリニューアルしましょう」的なことが書かれていますから、「社名やロゴを新しくすること=ブランディング」と思われても仕方がないでしょう。
しかし、ブランディングの本質は社名やロゴを新しくすることではなく、自社独自の「選ばれる理由」を明確にすることであり、その理由を会社全体で共有することです。そして、それは中小企業にこそ必須であり効果があることなのです。
中小企業がブランディングに適している理由
最初に、大企業とブランディングの親和性を考えてみましょう。前述のとおり、大企業にはデザイナーを使ってロゴを刷新し、一夜にして全国の拠点の看板を付け替える資金力があります。表層の変化を社会に伝えることには長けています。その一方で、内部の変化はなかなか進みません。これまでのやり方への固執や、企業文化、伝統、人間関係などが変化の邪魔をするのです。
何年かおきにタグライン(社名ロゴの下などに表示される短いメッセージ)が変わるのに、企業のイメージは変わらず、また売上もさほど変化が見られない会社をけっこう見かけます、タグラインこそ「選ばれる理由」さんざんを協議し煮詰めたメッセージのはずなのに、経営に変化が見えないのです。大企業のブランディングは、よほどの大鉈を振るわない限り難しいように思えます。
それに対して、中小企業はワンチームにまとまりやすく、また変化にも対応しやすい場合が多いといえます。さらに、大企業のように常にマスマーケットを意識する必要がなく、ニッチなマーケットにフォーカスすることも可能です。
大手との差別化戦略としてのブランディング
住宅業界で言えば、大手ハウスメーカーは、日本の平均的な家族から好まれるようブランドを維持し続けなければなりません。しかし、地域工務店は、年間数百、数千棟を販売する必要はありません。大手ハウスメーカーの最大公約数的な住宅商品に満足できない、より強いこだわりを持つニッチな顧客をターゲットにしたブランディングにより経営を成り立たせることが可能です。
ただし、それは顧客のインサイト(深層心理)に刺さる選ばれる理由があり、かつそれがわかりやすく伝わっている場合に限りです。また、ホームページのコンテンツやイベントなどから感じる会社の雰囲気や、スタッフの対応などがすべて同じ方向を向いていることも重要です。
そもそも、地域工務店が大手ハウスメーカーと同じターゲットを狙っていてはビジネスとして成立しません。なぜなら、大手ハウスメーカーのほうが、広告宣伝力を背景にした知名度や大企業ならではの信頼感において圧倒的に勝っているからです。同じ土俵に上がらないために、中小企業では否が応でもブランディングが必要になってくるのです。
ブランディングは簡単にスタートできる
ブランディングは、大企業との競争を避け、質の良い顧客から選ばれるようになるための経営戦略です。自社の提供価値や顧客のインサイトを分析することで独自の「選ばれる理由」を整え、会社全体で共有することです。そして、社名やロゴ、商品パッケージを新しくするのは二の次です。多額のデザイン費用は必ずしも必要ではありません。
ブランディングはお金をかけず、簡単にスタートできるのです。
まとめ
今回のブログでは、ブランディングが実は中小企業にこそ向いている理由について書きました。ポイントをまとめますと、次のとおりです。
・社名やロゴを新しくすることがブランディングだと誤解されている
・ブランディングの本質は、自社独自の「選ばれる理由」を整えて会社全体で共有すること
・大企業との競争を避け、独自の市場を確立するためにブランディングは必要
・簡単に始められ、すぐに効果を生み出す可能性がある。また、多額の費用も必要ない
自社のブランディングについて考える第一歩を踏み出しませんか? 必要なのは次の2つだけです。
- 関係者が集まれる場所と時間
- メンバーの意見を書き出すホワイトボード1枚
ブランディングによる新しい可能性について、お気軽にご相談ください。