「ブランディング」「Webサイト制作」「Webマーケティング施策」は必須のトライアングル
ここ数年、ブランディングからのWebサイト制作でプロジェクトが一段落ではなく、そこから先のWebマーケティングのところまで関わることが多くなってきました。確かに、Webサイトの最大の弱点は、TVCMなどに比べて「プッシュ」に劣ること。「見つけてもらう」施策を行わなければ、いくら磨き抜いたブランディングでも、また、興味や関心を高めるWebサイトでも、なかなか社会に知ってもらうことができませんから。「ブランディング」「Webサイト制作」「Webマーケティング施策」の連携は、今や必須のトライアングルだと考えます。
どこからどこまでがWebマーケティング?
一方で、わかってそうでわからないのも「Webマーケティング」と言えます。まず、なんと言っても範囲が広い。Webサイトへの集客のためには、SEOやコンテンツづくり、各種インターネット広告やSNS広告といったWebマーケティングの施策があります。YouTube動画とかもそうですね。そして、集客した方々の興味や関心を高め、自社の商品やサービスのファンになってもらうための、ブログ執筆やメールマガジンの定期的な発行、SNS投稿などがあります。さらに、ほどよく育った見込み客(Webマーケティングの世界では「リード」と呼んだりします)の刈り取り時期を知るためのマーケティング・オートメーションというツールの活用もWebマーケティングの重要な施策となります。
さらに、Webサイトの制作そのものや、改善のためのPDCAもWebマーケティングだという見方もあります。つまり、Webを使って行うマーケティング活動は、すべてWebマーケティングといえます。
そして近年になると、Webであろうとなかろうと、例えば実店舗への来店やWeb以外の媒体での接点も含めて「UX(User eXperience=顧客体験)というくくりでお客様の購買行動を捉えるようになってきました。
Webマーケティング施策の第一歩は安全で快適な登山地図づくり
もうこうなってくると、どこから学んで良いものか迷いに迷います。そこで、「Webマーケティング 基本」などで検索して記事を見つけたとしても、SEO“だけ”やメールマガジン“だけ”など、一部に特化して述べられていたり、最後まで読み進めたら結局はWebマーケティングツールの契約サイトへの誘導であったり、あるいはセミナーへの誘導であったりと、フラットな視点からWebマーケティングを知ることは意外に難しかったりします。
そのような時、私は「まずWebのツールのことは一旦忘れて、自社商品の『登山地図』をつくりましょう」というアドバイスをしています。商品の購入を「山頂」とする登山地図です。登山はしんどいですがお客様自身の足で登ってもらわらければなりません。そのため、山頂に立ったときのうれしさや、途中の疲れを忘れるような楽しさを魅力的に伝えなければなりません。また、お客様がなかなか乗り越えられない難所(例えば価格)にはちょっと楽な迂回路を設けてあげることも忘れてはなりません。すでに登頂した人(購入経験者)から、すれ違い時に「山頂の眺めは最高でしたよ!」と声をかけてもらえるのも、登頂のモチベーションになります。できるだけ脱落者を少なくし、みんなに山頂に立ってもらう。そのための登山地図づくりがWebマーケティングの第一歩です、と言っています。
カスタマージャーにマップでボトルネックを見つける
「Webマーケティングと言いながら地図づくりって、結構アナログだな」と思われるかもしれません。しかし、購入に至るまでの全体像を知るには、もっともシンプルでわかりやすい方法なのです。ちなみに、この登山地図は一般には「カスタマージャーニーマップ」と呼ばれています。翻訳すると「顧客の旅行地図」です。お客様がブランドを認知してから、購入に至るまでにどのような行動を行い、どこでブランドに触れ、その時々での心の動きはどうなのかを、時間軸上にプロットしていきます。さて、登山地図を眺めていると気がつくことが出てきます。「あらためて考えるとここは難所だな」「この断崖の手前でみんな引き返してしまうんだよね」「ここの平坦路、単調で飽きない?」「そのそも、この山ってみんなに知られている?」などです。実はそれらが山頂に立ってもらう=購入してもらうための「ボトルネック」になっているのです。
ボトルネックをひとつひとつ解消する Webマーケティングは地道な作業
Webマーケティングのボトルネックがはっきりしたら、今度はそれを解消する方法を考えましょう。いわゆるツールや施策選びです。目的がはっきりしていますから、選択の軸もぶれません。「顧客の育成がうまくいかない」「クロージングのタイミングがわからない」「なかなか購入ボタンを押してくれない」そのための手を打ちます。その際に大切なのは「数値目標を持つこと」。どの数字を達成したらOKとするのかを明確にすることです。そしてもうひとつ大切なのは、複数の施策を同時に行わないこと。時間はかかりますが、ひとつひとつの施策を確実に実行し、数値目標を達成していくようにしてください。
今回は、Webマーケティングの必要性とその役割についての全体像をお伝えしたため、特に最後の「ボトルネックの解消」の部分を簡単にまとめてしまいましたが、次回以降はもう少し詳しく具体的にWebマーケティングについてご紹介していきたいと考えます。