広告費はブランディングで減らせる

「ブランディングが経営にとって大切なことはわかった。でも、ブランディングによって具体的にどんな効果があるのか?」お客さまからよくいただくご質問です。ブランディングが単なる「会社のブランドイメージ刷新」で終わってしまうのではないかという危惧からの言葉です。このようなとき私は、「最もわかりやすいのは、広告費を減らせるということです」とお答えしています。
どういうことか? を以下にご説明します。なお、ここで言っているブランディングとは、自社の提供価値づくりのことであり、ロゴや名刺のデザインをリニューアルすることではありません。ロゴや名刺のデザインを変えることが直接「お客さまから選ばれる理由」になる可能性はそれほど高いとは思えないためです。

自然と絞り込んでいるマーケティングの5W1H

さて、このサイトのコンテンツやブログで何度か書いていますが、ブランディングとは「提供価値」を明確にすることです。提供価値とは、それを知ったお客さまが、世の中に数多とある商品やサービスから、その会社の商品やサービスを「選ぶ理由」となるものです。そして、提供価値をつくるときに考えるのは、「このような価値を伝えれば、これを望んでいるお客さまは、こう動くであろう」という想定です。つまり、提供価値を設計していく過程で、マーケティング活動のWhy(なぜ)、Who(だれに)、When(いつ)、Where(どこで)、How(どのようにして)、そしてWhat(なにを)を頭の中で自然と絞り込んでいるのです。

やること、やらないことが整理できる

上のようにマーケティングの5W1Hを自然に絞り込んでいますから、マーケティング活動においても「片っ端からなんでもやる」ということが避けられます。逆に、提供価値やその設計プロセスを明確にしていないと、若年層向けにSNSと連動したキャンペーンを開始し、高齢者向けに新聞折込チラシを配布し、ファミリー層向けに日曜日の早朝マルシェをやる。更に広告代理店に勧められてマス広告を始めるというように、競合他社がやっていることで良さげなものを片っ端から模倣することになります。これでは広告予算がどんどん無くなりますし、担当するスタッフも疲弊してしまいます。
提供価値という基軸を設けて、その軸を中心にマーケティング活動でやるべきことを絞り込むこと、また、やらないことを決めることで、広告費を含むマーケティングのさまざま無駄を減らすことができるのです。

思いつきのマーケティングも避けられる

また、世の中の会社で結構ありがちなのが、広告担当者が変わるたびに、その会社の広告の訴求ポイントやトーン&マナーが変わってしまうことです。単価の安いコモディティ商品であれば、新鮮味を維持するために広告のトーン&マナーを戦略的に変えることもあります(これも「いつの時代もイケてる商品」という提供価値づくりです)が、ある程度の価格帯の商品になると、目先をコロコロ変える浮足立った会社にしか映りません。その原因は、自社(商品)の提供価値をしっかり理解していない担当者が、広告代理店の提案の面白さだけでマーケティング活動を行ってしまうことだったりします。

精度の高い広告提案も期待できる

うまくはまれば良いですが、そうでなければ費用の莫大なムダです。この点でも、ブランディングという軸があればマーケティング施策に一貫性をもたせることができます。さらに、広告代理店に提案依頼をする際に、ブランドの提供価値が着地点であることを明確にすれば、提案される企画も精度の高いものとなります。逆に目先の面白さだけを求めても、一過性の提案しかでき上がってきません。
私も、広告やポスター、ホームページの制作依頼をいただいたときに最も困るのが、「売上につながるもの」「インパクトのあるもの」といったご依頼です。それで制作に着手するのはさすがに難しいとインタビューを重ねても、「ウチらしいもの」、最後には他社事例を見せられて「これっぽいもの」で話は堂々巡り。このような流れで上手くいったケースはほとんどありません。

ブランディングはマーケティングと表裏一体で考える

以上のように、ブランディングによって提供価値を明確にすることで、広告費を含むマーケティング活動のムダを削減することができます。また、お金だけでなく、検討の手間や会議の時間を減らすことができますから、執務時間の短縮にもつながります。逆に言えば、ブランディングが単なる「会社のブランドイメージ刷新」で留まってしまっては、実質的な効果を体感するのが難しいものです。ブランディングはマーケティングに落とし込むのを前提に考えること、できればマーケティングと表裏一体で考えることが大切だと考えます。

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