前回のブログでは、「ブランディングは大きな会社のもの」という誤解について、私なりの考えを紹介させていただきました。さらに踏み込んだ言い方をさせてもらえるならば、ブランディングは顧客に選んでもらうため、つまり「売上アップにつなげるため」ということが、しっかり伝わっていない(伝えていない)のも、中小の企業にブラングディングが導入されていない理由だと私は考えます。

Wikipediaで「ブランディング」を調べてみると、冒頭の文章は以下のようになっています。

ブランディング(英: branding)とは、ブランドに対する共感や信頼などを通じて顧客にとっての価値を高めていく、企業と組織のマーケティング戦略の1つ。ブランドとして認知されていないものをブランドに育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し、活性・維持管理していくこと。また、その手法。

「顧客にとっての価値を高める」までで終わっており、選んでもらう、つまり購入や契約をしてもらうところまでは目的となっていません。また、これ以外でも、ブランディングに関する本の多くで、ブランドの価値を高めることが目的となっている説明を多く目にします。企業経営者に「余裕ができたら、そのうち」とブランディングが思われても仕方がない文章です。

では、歴史をさかのぼってみましょう。ブランド論の第一人者である米国のデービッド・アーカー(David A. Aaker)博士は、1990年代に著書で「ブランドは資産」と定義しました。その中では、ブランドの価値を高めれることができれば企業や製品の価値も高まるし、逆にブランド価値を損ねることを起こせば、企業や製品の価値も下がると述べています。この頃はブランドづくり(ブランディング)とマーケティングは密接な関係で語られていたように思えます。

しかし、ブランドは資産という考え方から「ブランド・アイデンティ」という言葉が派生し、これが1970年代からあった「コーポレート・アイデンティティ」と(日本では)ごっちゃになって、いつの間にか「ブランドのビジョンが正しく表現されていればOK」という風潮になったのではないでしょうか。さらに、マーケティングや売上とは切り離されたスマートなスローガンやロゴ制作が、あたかもブランディングの目的のように取り上げられるようになったあたりから、「売上とは密接に関係がなくてもよいもの」という認識が広がっていったと私は思います。

また、ブランディングをサービスとして提供する側にとってもこれは時に好都合な理屈だったりします。心の琴線に触れるようなスローガンやおしゃれなデザインのロゴは、クリエイティブのセンスと能力があればなんとでもなりますが、それが売上や契約の獲得につながるかは別問題です。でも、ブランディングがマーケティングや売上とは切り離されたものであるならば、売上についての責任は問われず、ただただお洒落なクリエイティブに専念すれば良いわけです。

本当にそれでいいのでしょうか?

ブランディングとは顧客に選んでもらうための理由(提供価値)の提示であり、ブランディングの成功とは顧客の売上アップへの貢献であることを、ブランディングを生業とする会社はもっと明確にすべきです。もちろん、ブランディングは万能のツールではありませんから、他のマーケティング活動との連携について顧客とともに継続的な改善を検討するのが、ブランディングのサービスではないかと私は考えます。また、ブランディングの導入を考えている企業におかれましても、ブランディングとは着飾る(ロゴやビジネスツール類のデザインを変える)ことではなく、自分たちが選ばれる理由を見つけて伝えることで、顧客獲得をしていくことだと認識していただければと希望します。

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