前回はホームページを立ち上げる時の予算イメージについてお伝えしました。同時に、ホームページの維持と運用には、意外とコストがかかることにも触れました。今回は立ち上げ後にかかる運用コストについて、具体的にご紹介します。
まず、毎年の固定費用としては、ドメイン管理費とサーバー管理費が必要です。ドメインとはインターネット上の住所のようなもので、その管理費は「.jp」や「.co.jp」ドメインだと3,000円ぐらい、それ以外の「.com」ドメインなどでは1,500円ほどです。管理費の支払いをうっかり怠るとドメインが使えなくなってしまいますので、できればクレジットカードの自動引き落としにしておくのが安心です。
サーバーとはデータの置き場所。その管理費は、共用サーバーであれば年間 5,000円〜50,000円ぐらいと幅があります。依頼する会社のサポートやサーバーの仕様、機能の違いによるものです。ただし、サーバーのトラブルは致命的ですので、できれば金額よりも使いやすさや、万が一の時のサポートがしっかりしているかどうかで選んでください。使いやすさについては、ホームページの制作を依頼する制作会社に聞いてみるのが確実です。ちなみに、私がおすすめしているのは「Xserver(エックスサーバー)」です。管理費は年額12,000円〜とお手頃なのも理由のひとつです。
アクセス数の多い大企業向けには、「専用サーバー」というものもあります。共用サーバーがテナントビルだとすれば、専用サーバーは自社ビルと思ってください。専用ですので、自社用に様々なカスタマイズが可能ですが、その分だけ利用料も高く、共用サーバーのおよそ10倍ぐらいが管理費の目安です。
以上が固定費です。そしてなによりも、ホームページはコンテンツの鮮度を保っていくことも大切です。いわゆる「コンテンツの更新」です。更新にかかる費用は業種や更新頻度によってまちまちですが、私の経験としては、ページの追加や更新作業を外部に依頼したとすると、その作業費は立ち上げ時のおよそ20%、そして、そのコンテンツ作成(文章ライティングや写真撮影)に同額程度が必要となってきます。仮に予算100万円でWordpressを利用して外部の業者にホームページを作成してもらい、(スタッフブログなど自社投稿を除く)コンテンツ作成・更新作業も依頼したとすると、年に40万円ほどの費用が必要です。
また、Wordpressなどを利用してホームページを作成した際には、そのバックアップや保守、メンテナンスを行うことをおすすめします。「Wordpressのシステム更新をしたら不具合が発生した」「不正アクセスに攻撃された」などの事故に対処するためです。バックアップや保守を専門にしている会社があるので、それらに委託するのが安心です。費用は月額で2~3万円が標準的です。
ここまでが一般的なホームページの維持と運用にかかるコストです。合算すると、年額で70万円前後が必要であることがわかるかと思います。なお、WixやJimdoを利用した場合は、サーバー管理費と保守・メンテナンスの費用は不要です。この点でも、ホームページの維持に予算がかけられないスタートアップ企業にWixやJimdoはおすすめです。ただし、WixやJimdoはコンテンツのバックアップはしてくれませんので、投稿したテキストと写真はきちんと保存しておきましょう。
最後に、これは絶対に必要ではありませんが、ぜひ運用してほしいのがGoogle広告などのインターネット広告による流入施策です。ホームページはTVや新聞などのマスメディア広告に比べてプッシュ能力(こちらから訴えかけていく能力)が弱く、お客様に「見つけてもらう」のを待つしかないので、「検索連動型広告」や「関心連動型広告」などの施策が必要です。特に、オーガニック検索では上位表示されない、ホームページの立ち上げ時には絶対に必要だと思います。
予算は対象とするエリアや競合との関係にもよりますが、月5万円前後を目安に運用開始することをおすすめします。月5万円というと結構いいお値段の感じがしますが、街の情報を掲載して各戸に配られるフリーペーパーに、1/4ページサイズの広告を出してもほぼ同様の金額かと思います。広告する商品が、インターネット検索をあまり利用しない高齢者を対象にした商品以外であれば、検討してみてください。月5万円だと年間の費用は60万円となります。効果が実感できたら、月々の予算を増額したり、複数のインターネットを利用することも考えられます。
以上を全て合算すると、ホームページを運用するために必要な年間の費用はざっくり130万円ほどになります。WordpressなどのCMSを利用して標準的なホームページを立ち上げるのとほぼ同額の費用イメージですね。これが運用にかかる費用です。金額だけを見ると、パートさんやアルバイトを1名雇ったぐらいの費用イメージかと思います。つまり、ホームページにはパートさんやアルバイトと同じぐらいの「働き」を少なくともしてもらわなければダメというわけです。言い換えれば、そのくらいの働きをしてくれるようにホームページは作らなければ、作った意味がないということです。
「ホームページがないと格好がつかないから」「競合会社がやっているから」でなんとなく立ち上げ、運用は若手社員に丸投げするのではなく、明確な目的のもとに成果を測りながら更新を行っていくのが、ホームページの正しい運用です。また、運用に手間や費用が無いからと、コンテンツを数ヶ月間も更新しないというのが一番の問題。お客様は「ホームページの更新頻度=会社の元気さのバロメーター」としてウォッチしていることをお忘れなく。